毎日忙しい現代人、最近では、保存期間も長く手軽に食べられる加工食品や、インスタント食品、ファーストフードも充実していて、調理の手間を時短して毎日の食事を楽しめるようになってきています。
しかし、その一方で栄養が偏り、必要な栄養素が不足がちになってくると、様々な身体の不調がでてきます。
その中でも、「脚気」という症状は、日本の昔からの食生活と深く関わりがあり、身近な症状の病気です。
今回は、そんな脚気の原因や症状、対策についてご紹介していきます。
脚気の原因は?
まずはじめに、脚気が起こる原因についてみていきましょう。
ビタミンB1が不足すると起こる
昔から脚気(かっけ)正式名「チアミン欠乏症」という症状は、日本人の身近な病気でしたが、栄養素の研究が進み「ビタミンB1」の欠乏が要因であるということがわかりました。
また、ビタミンB1(チアミン)には大切な役割があり、糖質やたんぱく質などをエネルギー化する働きがあります。これが、欠乏することで、心臓や末梢神経に、代謝に必要なビタミンを運べなくなるため、身体に様々な影響がでてきます。
なぜ、このビタミンB1不足に陥りやすいかというと、特性からでもわかります。
- 水に溶けやすいく、調理中にビタミンB1が減少ので、体内に摂取しにくい
- 人によっては、遺伝的、体質的に吸収しにくい人もいる
- 摂取しても溜めておくことが出来ず、毎日、尿や汗などから排出される
- 妊娠中の女性は、不足しやすい
このようなことから、ビタミンB1は毎日、年齢や状況にあった量を補ってあげる事が大切なのです。
栄養素の偏り
主な原因となっているのは、「偏った食生活」です。
冒頭でもお話した、インスタント食品や、仕事上のお付き合いでのアルコールの摂取、夏に冷たい飲み物が欲しくなれば、コンビニで清涼飲料水を飲むこともあるでしょう。
実はこれらの食品や飲み物、毎日摂取過ぎることで、体内で糖質を分解するために必要な「ビタミンB1」が減少していきます。
こうしてみると、昔の人がかかっていた病という認識から、現代でも起こりうる身近な病気ということがわかります。
また、炭水化物(お米・小麦粉・白砂糖)などを多く食べる方も、エネルギー化する時にビタミンB1を使うことから、かかりやすいといえます。
どんな症状がでるの?
次に、脚気の症状をみていきましょう。
疲れが溜まりやすくなる
これは、初期症状でもありますが、上記などの理由からビタミンB1が不足してしまうと、食欲が落ちるため、疲労が溜まり、体重が減少していきます。
■ また、下記のような症状もあります。
全身に倦怠感、下半身が重たい感じになる
息が切れやすくなる
すぐに疲れる
腹周辺に違和感、不快感がでてくる
便秘になる
手足がむくんでくる
忘れっぽくなる
眠りにつきにくいなどの、睡眠障害が起こる
症状が進行していくと・・・
■ 進行していくことで、下記のような症状がでてきます。
手や足が痺れる、痛みがでる
筋肉の働きが低下する
感覚が麻痺してくる
初期の段階では、わかりにくい脚気の症状でしたが、進行していくと、激しい痛みなどがでてきます。この症状を放置したままにしておくと、やがて筋肉や神経の機能が低下して寝たきりになり、心不全を起こすこともあります。
膝を叩くと、どうして足が上がるの?
チェックする方法として有名なのが、膝のすぐ下を叩くと、足が反射的に跳ね上がるというものです。
これは、脚気により末梢神経に障害が起こってないかを検査するもので、きちんと神経が伝達されていないと、この反応が起こらないことからの1つの判断ポイントのようです。
足が上がらない人や、痺れや倦怠感などある方は、病院で一度検査してもらいましょう。
予防法や対処法
さて、原因からみた予防法や対処法をご紹介していきます。
ビタミンB1を含む食品を、毎日食べよう
ビタミンが身体に蓄積されにくいことを、ご紹介しましたが、対処するには毎日の食事から摂取する事が大切です。
*年齢別の1日の摂取量の目安
年齢別 | 男 性 | 女 性 | 備 考 |
15-17歳 | 1.5mg | 1.2mg | |
18-49歳 | 1.4mg | 1.1mg | 妊娠中は+0.2mg |
50-69歳 | 1.3mg | 1.0mg |
*ビタミンB1が含まれる食べ物
食 材 名 | 量 |
豚肉(モモ) | 0.91mg |
豚肉(ヒレ) | 0.98mg |
豚肉(ロース) | 0.69mg |
昆布 | 0.80mg |
大豆 | 0.83mg |
うなぎ | 0.75mg |
玄米 | 0.28mg |
玄米には、白米0.04mgの約7倍0.28mgのビタミンB1が含まれています。
こうしてみると、毎日のご飯をスーパーなどで売っている、五国米と合わせて炊くだけでも、ビタミンはもちろん、ミネラルや他の栄養素も摂れて美味しいですし、お手軽ですね。
また、調理法を「電子レンジ」や「蒸す」ものに変えるだけで、料理から失われる量を減らすことができますし、「煮る」お料理の時は、スープも一緒に摂取するように心がけましょう。
アルコールやジュースを控える
インスタント食品、清涼飲料水、ファーストフード、お菓子、アルコールは、沢山の糖質が含まれています。
しかし、それに反してエネルギーに変換するビタミンB1は、ほどんど入っていません。毎日、これらを食べる、飲む機会の多い方は、少し控えるようにしましょう。